髭の育毛剤でおすすめを探す前に|日本で「ヒゲに使える」と書かれた薬は実質1つだけ

髭の育毛剤 発毛

日本で買えるもので「ヒゲの発毛促進・育毛」と効能に明記されている薬は、ミクロゲン・パスタ(第1類医薬品)くらいです。

髭の育毛剤は、商品を並べる前に3グループに分けたほうが早い

市販されている「髭に効きそうなもの」は、法律上の立ち位置がまったく違う3種類が混ざっています。まずはこの表で、自分が見ている商品がどこにいるのかを確認してください。

グループ 代表例 ヒゲへの効能表示 判断のしかた
体毛用の医薬品 ミクロゲン・パスタ(第1類医薬品) あり(顔面・胸部などの発毛促進と育毛) 効能は認められている。ただし使えない人が明確に決まっている
海外製・天然系クリーム タイ産のハーブクリームなど なし(日本の医薬品ではない) 体験談は多いが、効果を保証するものではない。肌に合うかは自己責任
頭皮用の育毛剤・発毛剤 リアップなどのミノキシジル外用薬、薬用育毛トニック なし(頭皮のみ) 顔への使用は想定されていない。転用は避ける

この3つを混ぜて「おすすめ10選」にしている記事は珍しくありませんが、実際に選ぶときは意味がまったく違います。医薬品には守るべき使用条件があり、化粧品や海外製品には効果の裏づけがない、というだけの話なんですね。

頭皮用の育毛剤やミノキシジルを顔に塗るのは、効くかどうか以前の問題です

リアップなどミノキシジル外用薬

「髪に効くなら髭にも効くのでは」と考える人は多いのですが、これは避けたほうがいい発想です。リアップなどのミノキシジル外用薬は、添付文書で「本剤は頭皮にのみ使用し、内服しないでください」と明記されています。顔に塗ることは、そもそもメーカーが想定していない使い方になります。

ここで理由をひとつ足しておくと、ミノキシジルはもともと血圧を下げる薬として開発された成分で、吸収のされ方によっては体への影響が出ます。頭皮という決まった部位で、決まった量を使う前提で安全性が確かめられているので、「顔でも同じだろう」とは言えないわけです。

もう一点、頭皮用の薬用育毛剤には男性ホルモンの働きを抑える方向の成分が入っているものもあります。髭は男性ホルモンの影響を受けて育つ毛なので、方向性としても噛み合いません。髭を濃くしたい人が頭髪用を選ぶ理由は、あまり見当たらないんです。

ミクロゲン・パスタは効能が認められている代わりに、使えない人がはっきり決まっています

ミクロゲンパスタ

ミクロゲン・パスタは1953年から続く第1類医薬品で、メチルテストステロンとプロピオン酸テストステロンという2種類の男性ホルモンを含むクリームです。効能は「男女両性の無毛症、貧毛症(顔面、胸部、四肢、腋窩、恥部の発毛促進と育毛)」。ヒゲに使える薬として名指しできるのは、現状ここくらいです。

ただし第1類医薬品なので、購入時には薬剤師の説明を受けることになります。ネットで気軽にポチる感覚ではなく、確認事項がある薬だと思っておいてください。

添付文書で「使用しないこと」とされている人

該当する人 理由
15歳未満 小児への使用が想定されていない
妊婦、妊娠の可能性がある女性、授乳中の人 男性ホルモンを含むため
前立腺腫瘍・乳腫瘍(悪性)およびその疑いのある人 アンドロゲン依存性の腫瘍を進行させるおそれ
排尿困難を伴う前立腺肥大がある人 症状悪化のおそれ
PSA値が2.0ng/mL以上の人 医師の判断に従う必要がある
睡眠時無呼吸症候群の人 添付文書で使用不可とされている
円形脱毛症の人 同上

特に見落とされやすいのが前立腺まわりです。添付文書では、50歳以上の男性は使用前に前立腺検査を受ける必要があるとされ、継続して使う人には定期的な検査も求められています。「とりあえず試す」で済ませていい薬ではない、という理解が要ります。

塗る場所にも制限があります

目や目のまわり、口や鼻の粘膜、頭髪とまつ毛、外傷や湿疹・ただれのある部位には使えません。髭を狙って塗るときは、口の粘膜に触れないラインで止める必要があります。剃刀負けしている日は、その部分を避けるという判断も必要です。

「効かないから量を増やす」が一番やってはいけない使い方です

用法は1日1〜2回、1回0.1〜0.3gと決まっていて、添付文書には「使いすぎないようご注意ください」と書かれています。塗る量を倍にすれば毛が倍生える、という性質のものではありません。

もうひとつ、判断の期限もはっきりしています。一般的には1〜2〜3ヶ月の連続使用が必要とされる一方で、1〜2ヶ月続けて反応が見られない場合はそれ以上の使用をすすめない、と添付文書に明記されています。ここは意外と知られていないポイントで、「半年は続けないと」と自己判断で使い続けるより、2ヶ月を区切りにして一度立ち止まるほうが添付文書の考え方に近いです。

加えて、65歳以上では効果が期待できない場合があること、白髪が黒くなる効果はないことも明記されています。期待値の置きどころとして知っておくと、無駄に長く使わずに済みます。

塗った本人以外に付いてしまう、というリスクは見落とされがちです

男性ホルモンを含む外用薬なので、他の人に付着させないことが使用上の注意に入っています。使用後は石けんとぬるま湯で手を洗い、塗った部分が誰かと接触しそうなときは洗い流すように、と書かれています。

顔に塗るということは、パートナーや小さい子どもと顔が触れる場面がある人ほど注意が必要ということです。寝る前に塗って翌朝までそのまま、という使い方をしている人は、この点を一度確認しておいたほうがいいと思います。

競技をしている人は、髭以前にルール側の問題があります

テストステロンは、世界アンチ・ドーピング機構の禁止表で常時禁止されている物質に含まれます。塗り薬であっても対象外にはなりません。部活動、社会人リーグ、アマチュア大会でもドーピング検査が行われる競技はありますので、競技に関わっている人は、髭の育毛剤としてであっても使用前に競技団体のルールを確認してください。禁止表は毎年更新されるため、最新の内容を見る必要があります。

その前に、髭が薄く見えている原因が「量」なのか「配置」なのかを分けてください

薬に手を出す前に確認しておきたいのが、そもそも本当に毛の量が足りていないのか、という点です。髭が薄い人向けの見せ方の記事でも触れていますが、鏡で薄く見える原因は、次のように分かれます。

見え方 考えられる原因 先に試せること
まばらに生えていて密度がない 毛量そのものが少ない 育毛剤の検討対象になりやすい
形が締まらず、だらしなく見える 輪郭のラインが決まっていない 頬と首のラインを剃り落として輪郭を作る
あご髭ともみあげがつながらない 境目の産毛が細い 周囲の産毛を落として境界をはっきりさせる
色が薄くて存在感がない 毛質・色の問題 長さを1〜2mm残して影を作る

2番目から4番目は、薬ではなくトリマーの使い方で変わる部分です。ここを整えるだけで印象が変わる人はけっこういます。髭を濃くする方法をまとめた記事もあわせて見ておくと、順番を間違えずに済むはずです。

ちなみに「オナ禁で髭が濃くなる」といった話は、テストステロンと髭の関係を整理した記事のとおり、期待するほどの話ではありません。生活習慣で毛量を大きく変えるのは難しいと考えたほうが現実的です。

濃くしたあとに「やっぱり剃りたい」となる人は、実は少なくありません

これは脱毛を扱っているサイトだからこそ書いておきたいのですが、20代で髭を濃くしたくて育毛剤を使い、30代で青髭に悩んで脱毛に来る、という流れは珍しくないんです。髭は伸ばしているうちは「量」の話ですが、剃り始めると「剃り跡の青さ」という別の悩みに変わります。

髭を増やす方向に進むこと自体は否定しませんが、増えた髭は毎日の手入れが前提になります。手入れが面倒になったときにどうするかまで想像しておくと、後悔しにくくなります。逆方向に振りたくなったときの話は髭脱毛を戻したい人向けの記事にまとめてあります。

髭の育毛剤を買う前に、ここだけは確認しておいてください

最後に、購入前のチェック項目を整理しておきます。効果の感じ方には個人差があり、肌質によっても反応は変わります。判断に迷う点があれば、薬剤師や皮膚科医に相談してから決めてください。

確認すること 判断の目安
それは顔に使える商品か 頭皮用の育毛剤・発毛剤なら顔には使わない
禁止事項に当てはまらないか 15歳未満、前立腺の問題、睡眠時無呼吸症候群などは使用不可
50歳以上か 使用前に前立腺検査を受ける必要がある
どこまで続けるか決めているか 1〜2ヶ月で反応がなければ中止を検討する
接触する相手がいるか 塗布後の手洗いと、接触前の洗い流しを徹底する
競技をしているか テストステロン外用は禁止物質に該当しうるため事前確認を
薄く見える原因は毛量か 輪郭や長さの問題なら、まずトリマーで整えるほうが早い

「髭 育毛剤 おすすめ」で探している段階では、どれが一番効くかを知りたいはずです。ただ実際のところ、効能が認められた選択肢は限られていて、そのぶん使用条件も細かく決まっています。選ぶ作業というより、自分が使える側の人かどうかを確認する作業だと思って進めたほうが、無駄な出費も肌トラブルも避けやすいです。具体的な製品の使用感や口コミの傾向については、ミクロゲンパスタとブラックポムトングを比較した記事のほうにまとめてあります。

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