AGA治療で髭が薄くなるって本当?「薄くする薬」と「濃くする薬」が同時に処方されている話

AGA治療で髭が薄くなる AGA

AGA治療で髭が薄くなるかどうかは、飲んでいる薬によって答えが逆になります。フィナステリドやデュタステリドは髭を薄くする方向、ミノキシジルは逆に濃くする方向に働くからです。

しかも多くの人は、この両方を同時に飲んでいます。だから「薄くなる」「濃くなる」を一言で語ることはできなくて、まずは自分がどの薬を飲んでいるかを分けて考える必要があるんです。

「AGA治療で髭が薄くなる」は、飲んでいる薬しだいで正反対になります

AGA治療という言葉でひとくくりにされていますが、中身の薬は髭に対して真逆の働きをします。ここを分けずに「AGA治療=髭が薄くなる」と考えてしまうと、実際に起きた変化と話が合わなくなります。まずは薬ごとの方向を整理しておきましょう。

薬の種類 髭に働く方向 実際に変化を体感する人 やめたあと
フィナステリド 薄くなる方向(ごくわずか) ほとんど気づかない 元に戻るとされる
デュタステリド 薄くなる方向(やや強め)※逆に増える人もいる 人によっては感じる 元に戻るとされる
ミノキシジル(内服) 濃くなる方向 一定の割合で感じる 数か月で元に戻るとされる
ミノキシジル(外用) ほぼ影響なし まれ

つまり「髭が薄くなった」と感じたならフィナステリドやデュタステリドの側、「濃くなった」と感じたならミノキシジルの側、というのが基本の見取り図です。両方飲んでいる人は、どちらの影響が強く出るかで結果が変わってきます。

フィナステリドやデュタステリドで髭が薄くなる理屈は本当。でも気づく人は少ない

理屈のうえでは薄くなる方向で正しいのですが、実際に「薄くなった」と体感できる人は多くありません。理由は、髭を薄くする仕組みがそもそも弱めにしか働かないからです。

なぜ頭の毛は守られて、髭だけ薄くなる方向に働くのか

AGAの原因は、テストステロンが酵素によってDHT(ジヒドロテストステロン)に変わり、これが頭皮の毛を細くしていくことにあります。ところが同じDHTは、髭に対しては逆に「濃く伸ばす」方向に働くんです。頭は薄いのに髭は濃い、という人が多いのはこのためですね。

フィナステリドやデュタステリドは、このDHTを減らす薬です。だからDHTが減れば、頭の毛は守られる一方で、髭を濃くしていた力も弱まります。これが「AGA治療で髭が薄くなる」と言われる理屈の正体です。仕組みとしては筋が通っています。

ただ、髭は男性ホルモンの影響を強く受けて生えそろった毛なので、フィナステリド程度のDHT抑制ではなかなか動きません。日本人のAGA患者を対象にした小規模な調査でも、半年以上フィナステリドを飲んだあとに「頭髪以外の毛が変わった」と感じた人はいなかった、という報告があります。海外の毛髪外科の専門機関でも、髭や胸毛の密度は減り得るけれど、ほとんどの場合は気づかない程度だとされています。

デュタステリドのほうが髭に響きやすい。ただし方向は人によって逆になる

同じDHTを抑える薬でも、デュタステリドはフィナステリドより抑制する力が強いぶん、髭や体毛への影響もやや出やすいと考えられています。フィナステリドが酵素の一部だけを抑えるのに対し、デュタステリドはより広く抑えるからです。長く飲んでいる人から「髭の伸びが遅くなった」「体毛が減った」という声が出ることもあります。

ややこしいのは、デュタステリドで逆に体毛が増えたという報告も存在することです。ホルモンへの反応は部位や体質でばらつくため、同じ薬でも薄くなる人と濃くなる人がいます。ここは個人差がかなり大きい部分なので、「デュタステリドなら必ず髭が薄くなる」とは考えないほうがいいですね。

「AGA治療を始めたら髭が濃くなった」なら、疑うべきはミノキシジルのほう

AGA治療を始めてから髭や体毛が濃くなったなら、原因はほぼミノキシジル、それも内服薬です。DHTを抑える薬とは逆に、髭を濃くする方向に働きます。

ミノキシジルはもともと血管を広げる薬で、全身の毛包の成長期を延ばす作用があります。この力は頭皮だけでなく、髭・腕・脚の毛にも同じように及ぶんです。だから発毛効果と多毛は裏表の関係で、髭が濃くなるのは薬の異常反応ではなく本来の働きが全身に出ただけ、という整理になります。海外では、内服したうち15%ほどに多毛が見られたという報告があります。塗って使う外用薬なら、影響は塗った場所が中心で、髭まで濃くなることはまれです。

この変化は、ミノキシジルをやめれば数か月ほどで元に戻るとされています。頭髪のためには続けたいけれど髭は濃くしたくない、という板挟みになったときは、外用へ切り替える・量を調整する・濃くなった部分だけ脱毛するといった選択肢を医師と相談できます。射精で髭が濃くなるといった噂のように根拠のはっきりしない話とは違って、こちらは薬の作用としてある程度説明がつく現象です。

髭剃りをラクにしたくてAGA治療に期待している人は、方法を間違えています

「髭が薄くなるならむしろ好都合」と思ってフィナステリドやデュタステリドに期待しているなら、その使い方は筋が悪いです。髭を薄くする目的の薬ではないからです。

理由は大きく3つあります。まず、さっき見たとおり髭への効果は不確実で、飲んでも体感できないことのほうが多いです。次に、これらは薄毛治療のための処方薬で、性機能への影響などの副作用もあり得ます。髭を減らす目的で本来の使い道から外れて飲むには割に合いません。そして、効いたとしてもやめれば戻るので、髭のために一生飲み続ける前提になってしまいます。

確実に髭を減らしたいなら、薬ではなく医療脱毛のほうが目的にまっすぐ合っています。ただし脱毛は「濃くなったらやめる」ができず、減らしすぎると戻せません。髭を残したかったと後から気づく失敗もあるので、そこは薬とは別の慎重さが必要です。

髭は残したいのに薄くなるのが不安な人が、確認しておくべきこと

逆に「髭は男らしさとして残したいのに、AGA治療で薄くなったら困る」という不安なら、過度に心配しなくて大丈夫です。大多数の人は薄くなったと気づかないレベルですし、仮に変化を感じても薬をやめれば戻るとされています。

それでも気になるなら、髭への影響が弱いフィナステリドから始めて、デュタステリドは様子を見ながら判断する、という進め方が無難です。実際に「髭が薄くなった気がする」と感じたときは、自己判断で中断せず、まず処方している医師に伝えてください。薬を変えるか続けるかは、頭髪の状態と天秤にかけて決める話になります。飲み始めの時期や進め方に迷いがあるなら、AGA治療をいつから始めるかもあわせて確認しておくといいですね。

結局、AGA治療で髭がどうなるか、始める前に押さえておきたいこと

最初にやることは、自分が飲む(飲んでいる)薬がどれなのかをはっきりさせることです。フィナステリド・デュタステリドなら薄くなる方向、ミノキシジル内服なら濃くなる方向、と向きが逆なので、これが分かれば起きた変化にも説明がつきます。

そのうえで、AGA治療はあくまで薄毛を止めるためのもので、髭の変化は副次的なものだと考えておくのが現実的です。髭を薄くしたいなら医療脱毛、濃くしたいならミノキシジルの相談、というように、目的が髭そのものにあるなら手段は別で考えたほうが確実です。

髭の変化は多くの場合わずかで、しかも薬をやめれば戻るとされています。効果や副作用の出方には個人差があり、体質によっても変わります。実際に気になる変化が出たとき、あるいは治療を始める前に不安があるときは、自己判断で決めず医師に相談して進めてください。

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